Z.公共物の色彩デザインを考える
駅をはじめ、街中を歩くとユニバーサルデザインの見地からは程遠い色使いが多く見られます。それらのデザインは特定の人の自由を疎外する要因にもなり、危険を招く恐れもあります。わかりやすい色使いは多くの人に優しく、便利なデザインです。誰もが心地よく楽しく暮らせる社会にするためには、どのような配慮が必要かをあらためて考えてみる必要があります。
(1)周囲の色に溶け込んだ展示ブロック 目立たないので本来の機能を果たしません。 見落としやすい分、かえってつまづきやすいため、転倒を招く恐れがあります。 |
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(2)駅の透明なベンチ みなとみらい線某駅のベンチ。アクリル板を曲げてつくられた椅子です。 一見未来的で格好良く見えまるかもしれませんが、視覚機能に障害を持つ人、色の識別力が低下した人にとっては、ベンチの存在を認識するのが大変困難です。 うっかり衝突する危険性が高いデザインといえるでしょう。 実際に衝突した形跡もたまに見られます。 |
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(3)有名商業施設の看板 業種ごとに緑、黄色、オレンジと色分けがされていますが、微妙すぎる色合いなので、その差がほとんどわかりません。 識別性に大変乏しく、背景と文字の色もコントラストが欠けているため、可読性という点からしても問題があります。 これでは多くの人が心地良く利用することができません。 看板もさることながら、案内標識、建物のデザイン全てが不親切で、とても使いづらい印象でした。 |
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(4)上記と同じ商業施設の階段 階段の踏み面の幅が通常より広く、模様が入り組んでいるため、段差が不明瞭です。 荷物を持って歩いているだけでも恐怖心を感じました。 転倒事故があったのか、階段の両側に黄色いテープが貼られています。 これは危険なデザインを意味する印ともいえます。 あらかじめ段差がはっきりとわかる色の工夫がなされなくてはなりません。 |